がんと闘う女性の“語られない悩み”を汲み取れるか?
人間の悩みには「潜在化している悩みや不安」と、それが「顕在化してくる悩みや不安」の2種類があると医療関係のレポートがまとめています。とくにがんと闘う女性の場合は、相談者の心の底に潜在する不安がはっきりと認識されるケースが多く、これに周囲がどう向き合うかで、生活のあり方、クオリティー・オブ・ライフの高低が決定づけられるそうです。
普段は悩みや不安をあまり訴えることができない女性は、定期診断のために医師の前に行っても、せっかくの相談の機会を逸してそのまま帰宅してしまうケースが大半なのだとか。ここで先にお話しした「周囲がどう向き合うか」という周囲についてですが、これをもう少し明確にしておく必要があります。
潜在的にがん患者が必要としている周囲と課題
- 医師(主治医)/定期診断等の担当医であるが、医師の問いかけとリラックスした姿勢が患者の話しやすさに大きく影響する。
- 看護師/医師に付き添ってサポートするだけではなく、診察室に入る前に患者の悩みや不安、疑問を聞き出す時間が必要。
- セラピスト/いつでも問い合わせができる、相談ができる態勢が必要。少人数のため、事前の予約が必要で機を逸してしまう事が多い。
- ケアマネージャー/定期訪問という枠を外して「いつでもすぐに訪問」という態勢をつくって本人に知らせておくことが大事。
- 介護士、訪問医師・看護師/制度上、あるいは時間の制限などで雑談は許されていない。しかし悩みは雑談の中から顕在化することを認識すべき。
- 家族・兄弟/身内でも聞き出せない本人の悩みがある。普段から何でも話し合える雰囲気を醸成しておく必要があり、それが決めてとなる。
- 友人・知人/家族・兄弟が、本人に“相談できる親しい友人がいるか”、把握しておくことが第一。いなければ各種のコミュニティに参加させるなども。
- 地域の人(隣近所)/近隣が本人の状態を知っているか、協力的であるか、誹謗抽象的な接し方をしていないかを家族が確認。
- その他コミュニティ/院内のがん患者コミュニティ、ネット交流、マスコミの情報などを通じて情報収集し、いつでもコンタクトできる態勢を。
引きこもりにさせない、寄り添う医療用ウィッグの存在
潜在化している悩みや不安を無理やりほじくり出す必要はないけれども、心がほぐれる環境にあれば、悩みは自然と口からこぼれ出るようになり、周囲の理解と協力があれば、それを解決する手段も意外と早く見つけられるものです。これを放置すると引きこもりや外出拒否にもつながっていくので要注意。
そうならない手段として重要なカギを握るのが医療用ウィッグの存在。自分の髪を取り戻すまでの間、自分を勇気づけ内向きになった心と足を外界に向けてくれます。女性ならだれでも美しくありたい、自分らしく過ごしたいと思っているものですが、脱毛によって絶望的な境地に立たされていることも。
家族にはその深さが読み取れなかったとしても、医療用ウィッグを試着し日常使いしたことで、心身のマイナスをいっきに逆転させた事例はいくらでもあります。医療用ウィッグは、自分にあった新しいヘアスタイルと出会い、心に寄り添いながら背中を押し出してくれるツールです。
高価で高級なウィッグは必要ありません。通販で売られている“高品質・低価格”の製品で十分です。8万円~10万円のクラスで、通販なら最高級のレベル。市販の製品では同等のものが30万円程度で販売されているコスパの優等生です。ウィッグ選びを機会に会話の数を増やしていくきかっけにもできます。