“女ごころ”と医療用ウィッグの選択

女性用医療用ウィッグの最新事情!

女性用医療用ウィッグの選び方のポイント!

女性にしか理解できない髪の大切さ

検査の結果、脳に腫瘍ができて「抗がん剤治療を行いましょう」ということになりました。

ガンで死ぬということよりも、脳に腫瘍ができるということは、これから自分の身がどのように変化していくのか、何が起こるのか、その不安で打ちのめされました。

不安が具体化した最初の出来事は、吐き気や脱力感、意識の混濁といったもので、その後2週間が過ぎたあたりから脱毛がはじまりました。わずか2か月前には、フサフサで黒々していた髪を自慢するように長く伸ばしていた私の毛が、想像もできないほどの速さで、むしり取られるように、ひとかたまりになって抜け落ちていきます。

男性医師の先生は私に、「抗がん剤治療が終われば半年程度で新しい髪が生えてきますから」と言い、主人や子どもたちは「一家そろってみんなで坊主にしちゃおうか」と、おどけてみせてくれますが、正直、そのような気遣いをもらっても、私の心が癒されることはありませんでした。これは女性にしかわからない心理でしょうが、髪は女性にとって美しさや自分らしさの象徴であり、どんな衣服よりも大切なファッションの一部、分身なのです。しかも買い替えたり着け替えたりができない天然のもので、育てるのには数年、数十年とかかります。「また生えてくるから」、「みんなで髪を剃ったら同じになる」、そんなに簡単に割り切れるものではないのです。

見下していた「医療用ウィッグ」という名の髪の毛

自分の頭髪がほとんどなくなって地肌丸出しになったころ、娘から「女性用の医療用ウィッグというのがあるけど着けてみない?」とすすめられました。

「あんなの子供騙しのカツラじゃないの」と切り捨てていましたが、他に方法がなく、「宅配で取り寄せて、試着・返品も無料でできる」と言うので娘に従いました。一時退院の許可が出たタイミングにあわせて自宅に届いた医療用ウィッグというものを着けたとき、いちばん最初に実感したのは、頭にすっきりと違和感なくフィットする気持ち良さでした。娘曰く、通気性のいい衛生的な裏地素材や、患者の脱毛時と育毛時のヘアボリュームの違いにも対応できるようになっているのが“医療用”なのだそうです。

しかも人工皮膚を使って1本1本、手作業で植毛しているためか、着けたときの髪の毛の流れがとても自然で、適度なまとまりと美しさがあり違和感がどこにもありませんでした。

髪の長さやカールの強さなど、いまでは自分流にいろいろアレンジしてもらった医療用ウィッグをいくつも所有し、逆にウィッグを着けることで七変化する自分の姿を楽しみながら、服や靴とのトータルコーディネイトに夢中になったりしています。

自分の髪の毛に固執していたら、このような“暮らしのバリエーション”は生まれなかったでしょう。ウィッグに対する偏見にお詫びし、娘や夫に礼を言って、ウィッグライフを満喫しています。