暗闇の中、医療用ウィッグで一筋の光が見えた気分
ただのファッション用ウィッグではなくて、「医療用ウィッグ」という専用の商品があるのを知ったのは5年前のことでした。私はパソコン(インターネット)を使って、クライアントから依頼のあった事柄や商品の追跡調査をする仕事に従事しています。簡単に言えばネット上の動向調査・市場調査です。
そんな仕事をしているのに、女性用の医療用ウィッグが世の中にあるということを、そのときまでまったく知りませんでした。その時点では、一般用とどこが違うのか詳しくはわかりませんでしたが、とにかく「地獄で仏」というか、真っ暗闇を歩いていて、遠くから一筋の光に出会ったような感動に襲われたのを覚えています。
当時の私は、ガンの宣告を受けて3ヵ月、入院して抗がん剤治療がはじまり、自慢だった黒々とした髪が“お岩さん”みたいになって一人で泣き崩れていた時期でした。
「大丈夫です。治療が終われば半年くらいで髪は取り戻せますから」と主治医の先生は言いますが、そのときの心境をどう説明したら良いのか、孤立無援でただただ悲しく恐ろしく、家族や友人の励ましでさえ空々しく聞こえてしまうほどでした。ガンの宣告を受けるドラマはテレビでも観ていたし、誰がなってもおかしくない確率ということで私も覚悟はしていましたが、自分の身になるとこうも恐ろしいものかということを実体験しました。
脱毛で苦しむ女性の心を分かってくれる場所
私が寄稿したのは、いま使っている医療用ウィッグがどんなに素晴らしいかというオススメをするためではありません。
「女性専用の医療用ウィッグがあるおかげで、脱毛で苦しむ女性が救われる場所が1つできた」という、感謝の気持ちを伝えたかったからです。それと同時に、脱毛などで苦しむ人のためにウィッグをつくっているメーカーさんは、どうかコンタクトをしてきた女性たちの“心のカウンセリング”にももう少し積極的に関わってもらえないかというお願いの気持ちもあります。
人に話すと「悩みならそういうボランティア団体がある」と言いますが、そのような場に出かけて行って励ましあうことと、痛みや悩みや苦しみを知る専門家に、ただ思いを聞いて欲しいという私の願いとは少し違います。
私が手にした医療用ウィッグというのは「シルフィ」という通販の製品ですが、いちばん最初に連絡したときには、電話口でそうとう長い間、自分の悩みや心境を語り、支離滅裂のまま製品をお願いしていました。
あれから3年以上が過ぎました。いまでもそのウィッグは着用していますが、髪の毛(地毛)が増えたり減ったりするたびに調整してもらったり買い替えたりを繰り返しています。しかし精神的にはとても強くなれました。ご迷惑でしょうが「いつでも電話できる心強い味方を得た」からです。
たとえ完治してもお付き合いをさせていただきたいメーカーさんです。勝手言ってすみません。無理な注文ばかりですが、表現できないほど感謝しております。